第6章 ヒメマスを味わう
ヒメマスは、淡水魚の中でも最も美味しい魚の一つだと私は思います。本章では、ヒメマスを使った10種類の料理をご紹介します。
第1節 塩焼き
最もシンプルな料理です。炭焼きコンロのほか、ガスや電気のグリルでも調理できます。内臓を取り除き、塩を振って30分ほどなじませた後、じっくりと焼き上げます。
味の近い魚としてヤマメがありますが、それよりもはるかに上品で美味しく感じられます。サケの塩焼きをさらに繊細にしたような味わいです。
炭火は雰囲気がありますが、身に含まれる脂が流れ出しやすいため、意外にもガスや電気で焼いた方が美味しく仕上がると感じます。
第2節 フライ
ヒメマス料理の中でも非常にポピュラーな調理法です。サケのフライが美味しいように、ヒメマスのフライも絶品です。
一般的な作り方で問題ありませんが、塩コショウなどで軽く下味をつけると、さらに美味しくなります。
第3節 燻製
紅サケと同様の風味を持つヒメマスは、燻製との相性が抜群です。単なる塩焼きよりも、格段に美味しく感じられます。
温燻:70度の低温で6時間ほど燻します。ニジマスと同様の方法で、マイルドな仕上がりになります。
熱燻:醤油と砂糖をベースに、高温(100度)・短時間(2~3時間)で仕上げる方法です。北米では主流のようで、実際に食べ比べてみると、温燻よりも香ばしく美味しいと感じました。
短時間で美味しく仕上がる点からも、熱燻はおすすめです。
第4節 刺身
こちらもシンプルな料理ですが、淡水魚ゆえに寄生虫のリスクがあります。自己責任となることを理解したうえで楽しんでください。
以前、水産関係者の寄生虫調査報告で、沼沢湖産のヒメマスにも少数ながら感染例があったと記憶しています。心配な場合は、一度冷凍してから解凍して食べることをおすすめします。
サーモンピンクの切り身はコクがあり、舌の上でとろけるような食感で、他の刺身魚と比較しても上位にくる美味しさです。
第5節 ソテー
北米では燻製と並んで人気のある食べ方です。サケと同様、バターとの相性が非常に良いです。
釣ったばかりの魚をカヤック上で調理したことがあります。三枚におろし、オリーブオイルでニンニクを炒めたところにバターを加え、ヒメマスをさっと炒めます。新鮮な魚はすぐに火が通るので、塩コショウで味を調えて完成です。湖上の景色とともに味わう料理は、まさに至福のひとときでした。
第6節 南蛮漬け
サケの南蛮漬けと同じ要領で作ります。ヒメマスを一口大に切り、揚げてから、千切りのネギやセロリとともに、出汁醤油・酢・みりん・水で作った甘酢に漬けます。
ヒメマスの身は甘酸っぱい味付けによく合い、食欲をそそる一品になります。
第7節 マス寿司
富山の名物「マス寿司」は、ヤマメの降海型であるサクラマス(本マス)を使いますが、ヒメマスでも美味しく作ることができます。
捌いたヒメマスに塩を振って30分ほど置いた後、酢で洗い、砂糖を加えた酢に1時間ほど漬け込みます。それを酢飯の上にのせ、重しをして冷暗所で半日ほど寝かせれば完成です。
笹を敷いて折箱に詰めると、風情もありとても美味しくいただけます。
第8節 ヒメマスのフレーク
瓶詰めの鮭フレークが美味しかった記憶から、ヒメマスで自作してみました。
焼いたヒメマスの身をほぐし、みりんとごま油を加えて、テフロン加工のフライパンで水分がなくなるまで炒めます(焦げつき注意)。
味は絶品で、ご飯にかけてもパンにはさんでも美味しく、冷蔵保存も可能です。釣果が多いときには多めに作ると便利ですが、小さな魚なので大量には作れないのが少し残念です。
第9節 ヒメマスの炊き込みご飯
タイ飯と同様の作り方で、焼いたヒメマスを醤油・みりん・酒をベースにしただし汁で炊き込みます。仕上げに三つ葉を散らすと、上品で風味豊かな一品になります。
第11節 ヒメマスのコンフィ
オリーブオイルで70度・約3時間煮込みます。骨まで柔らかくなり、丸ごと食べられるようになります。
お好みのソースにハーブ「ディル」を添えていただくと、非常に上品で美味しい仕上がりになります。
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