2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故では、大量の放射性物質が放出され、福島県内の川や湖も広く汚染されました。
イワナなどの淡水魚からもそれが検出され、長らく出荷制限の措置がとられてきました。
以下で、原発事故から10年となった2021年3月現在の出荷制限状況をまとめてみました。
1 渓流魚
(1)イワナ
残念ながら、イワナの魚影が濃い福島市の摺上川も出荷制限区域内です。
昨年2020年には、2月25日に信夫ダム上流の阿武隈川が、12月21日に桧原湖・小野川湖が解除になっています。
(2)ヤマメ
中通り地方では、阿武隈川の全流域、浜通り地方では、真野川、新田川、太田川、会津地方では、猪苗代湖、日橋川(金橋発電所上流)が制限区域となっています。
桧原湖・小野川湖では、イワナとともに解除されています。
同じ渓流魚のイワナとヤマメで、制限区域に違いがあるところは、面白いところです。
下の研究によると、汚染された場所での1日あたりのセシウムの取り込み量はヤマメの方が多いようで、それが影響しているのかも知れません。
<参考>
→避難指示区域内の渓流域における魚類および環境試料中の放射性セシウムおよびストロンチウム濃度について(PDF 2017年 茨城大学 中里亮治ほか)
2 中流域の魚
(1)アユ
阿武隈川は、2019年8月28日に解除されています。
(2)コイとフナ
コイは桧原湖・秋元湖・小野川湖と長瀬川(酸川との合流点より上流)が制限区域で、県内では、裏磐梯地域に限定された感じです。
阿武隈川については、2019年に解除になっています。
フナは、真野川、阿武隈川(信夫ダム下流)、秋元湖が出荷制限地域となっています。
おなじコイ科の魚でコイと制限地区が微妙に違うのは、イワナ・ヤマメ同様に面白いところです。
(3)ウグイとウナギ
ウグイは、真野川、ウナギは阿武隈川の全流域が出荷制限地域となっています。
ウグイは、猪苗代湖では2017年に、裏磐梯の各湖では2020年にぞれぞれ解除になっています。
3 まとめ
原発事故から10年が過ぎて、海では全ての魚が出荷制限解除になったのに対し、内陸部の魚はまだ出荷制限地域が残っています。
改めて、放射性物質の長年に渡る影響の強さを感じさせる結果となりました。
<参考>
→内水面の採捕・出荷制限等の措置一覧(令和3年1月28日現在)福島県 PDF
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